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男と女の脳のちがい(そのII)

氏名 河村 弘庸【脳神経外科】
経歴 元東京女子医科大学 脳神経外科教授
淑徳大学非常勤講師

 

 今回は、女性と男性とで感情表現の違い、また、男性は化粧をしないが、女性は化粧なしでは人前に絶対に出もでません。これも決定的に男性と女性の脳の働きの違いですので、何故なのかお話します。

(図1)

 図1は機能的MRI(核磁気共鳴診断装置)を用いて女性が感情表現している時と男性との違いを示しています。一目瞭然で女性脳では、大脳半球の前後左右と広い場所を同時に使用しているのが分かります。一方、男性脳では左大脳半球の前後2カ所しか働いていません。

(図2)

 前回お話しましたが、女性は子育てが基本的に中心ですので、周囲とのコミュニケーションを大切にします。従って、図2に提示したように、共感する女性脳の特性があります。お喋りの中でいろいろと考え、感情表現も周囲の状況に応じて臨機応変に変えることができるものです。そこで沈思黙考は難しいのです。
 男性脳では、物事を抽象的に把握しシステム化するのに長けていますが、孤独になり勝ちで女性より早く呆ける傾向が明らかです。
 図2に示したように、女性は人間関係を中心としたコミュニケーションを大切にしますが、あくまでも、自分の存在を密かに構築します。従って、自分が必ずしもそうだとは思わなくても、その場の雰囲気に合わせ、「そうね!」と言えるのです。
 いつも断定的な表現は避け、婉曲的表現に終始する傾向が強いので、女性は化粧なしでは、外出できないように「言葉」にも化粧をするのです。このような女性特有の言語表現能力には、男性は全く、追従できません。
 少し横道に逸れますが、茂木健太郎氏著書「化粧する脳」を参考に女性の化粧について考えてみたいと思います。

(図3)

化粧は社会へのパスポートであり、自己構築の基本です.常に他人からの視線を気にしなければ居られないので、自分の脳も化粧を施すと言われています「図3」。

(図4)

少し難しくなりますが、更に面白いことに、化粧している自分の顔と素顔では、あたかも他人と自分を見比べているように、脳が働く場所が同じなのです。右側頭葉後部の「紡錘回」と言う場所が働くのです「図4」。 少し難しくなりましたが、女性脳の高等で複雑な「感情機構」を理解して頂けたでしょうか?