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唯一男性脳の優れているのは?

氏名 河村 弘庸【脳神経外科】
経歴 元東京女子医科大学 脳神経外科教授
淑徳大学非常勤講師

 

前回まで女性脳が如何に、男性脳より優れているかをお話してきましたが、今回は男性の名誉のために、男性脳が女性脳より唯一勝る事をお示ししましょう。
これも前にお話ししましたが、人間の進化の過程に関係します。

男性は、家族を守るために、外敵の排除や食料の確保をしてきました。そのため、現在でも男性脳にはこのような能力が維持されているのです。即ち、「空間把握能力」が断然女性より優れています。
アフリカのマサイ族の狩を見てみると、狩のためには、女性のようなおしゃべりは不要で、狩を一緒にする仲間と目配せで合図を交わし、遠くに動く獲物を追い詰めます。女性より遠くの動く物に対する反応が優れています。
それでは、実際に空間把握時の機能的MRI画像を見てみましょう。男性脳と女性脳とでは、その働きが明らかに違います。
男性脳では、空間認識の際、左大脳半球、前頭葉、頭頂葉、後頭葉と広い範囲、また右大脳半球でも前頭―頭頂葉が活動しています。
一方、女性脳では、大脳半球正中部が少し働いているだけです。

男性脳と女性脳の空間能力の違いの例をお示ししましょう。
知らない場所に、車で行くのは今では車用専用の「ナビ」があります。「ナビ」では進行方向をいつも上方に表示されます。何の心配もなく、その「ナビ」の指示に従えばどこにでも間違いなく到達できます。沿線の道路状況なども考慮して目的地への到達時間も表示してくれます。
しかし、「ナビ」の無かった時代には「道路地図」を片手に運転しなければなりませんでした。
地図は上が北、下が南、右が東、左が西を指します。車が真北に進行して入り時は、地図の通りで問題がありませんが、そのほかの方向に進んでいるときは、地図を進行方向に動かさなければなりません。
しかし、男性脳では「空間認識能力」に優れていますので、地図を進行方向に回転しなくても、道路地図を見て、今いる自分の位置を把握できます。女性脳では、これが非常に苦手です。そこで、女性へのお店の場所の案内では、「大手町3丁目を左に曲がり、約300メートルの左側です」では駄目で、「新大手町ビルを右に見て、00の看板のすぐ近くで、大きな黄色の看板がありますので、そこがご案内のお店です」としなければなりません。
最も、今はスマホ等の道案内がありますので、何も考えずに目的地に連れて行ってくれます。店の案内文も、男性用、女性用に分ける必要がなくなりました。