子宮頸がんとは
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子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部に発生する悪性腫瘍です。日本では1年間に約1万人が罹患し、約2800人が死亡しています。進行すれば、帯下の増加や不正出血、下腹部痛といった自覚症状が出てきますが、初期は、ほとんど無症状です。進行してしまうと、子宮や卵巣だけではなく、その周囲を大きく切除する手術が必要になり、命が助かっても、妊娠・出産ができなくなるだけではなく、排尿困難やリンパ浮腫という下半身の強いむくみが出たりして、日常生活に大きな影響が出てきてしまいます。
その一方、予防できる数少ないがんのひとつと言われ、ワクチンと検診で、女性自身が、自分の体を守ることができます。シルガードという最新のワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒト・パピローマウィルス)の約88%を感染予防できると言われています。
現在、一部の特殊なタイプを除き、大部分の子宮頸がんの原因は、HPVの感染が原因と考えられています。100種類以上あるHPVの中の13~14種類のウィルスが子宮頸がんの原因になっています。HPVは性的接触で感染し、性交経験のある人の多くは、男女共に、生涯に一度は感染しますが、感染は、一時的であることが多く、一部の持続感染者に、子宮頸部の前がん病変である異形成や子宮頸がんが発症していきます。一般的にはHPVの感染から、子宮頸がんへの進展には数年から数十年かかると言われており、進行がんになる前の段階で発見できれば、子宮を摘出せずに治療は終了します。
欧米では検診の受診率が80%以上ですが、日本では、未だに35%程度となっています。多くの先進国では、子宮頸がんで亡くなる人は減ってきていますが、日本では、未だに増加傾向にあり、特に30歳代の若い人に増えてきています。「忙しいから」「恥ずかしいから」と言った理由をつけずに、1年に1回、継続的に医療機関で検診を受けましょう(自己検診は、お勧めできません)。そして、更に重要なのは、結果に異常が出たときには、必ず、精密検査を受けましょう。それが、あなた自身の体を守ることにつながります。
最後に、現在、HPVの治療ワクチンの研究も進んでおり、近い将来、こちらも利用可能になると思われます。
【参照】
日本産科婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」