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小児・思春期頭痛外来

2016.06.07

氏名 藤田 光江【小児科】
経歴 東京クリニック小児・思春期頭痛外来
一般財団法人筑波学園病院小児科(精神・神経外来)

 

 頭痛は、子どもも保護者も何か病気が隠れていないか心配になる症状であるが、原因のある二次性頭痛は3〜4%である。原因疾患のない一次性頭痛で、生活支障度が高いのは子どもも片頭痛である。片頭痛は小児でも強い頭痛で、前兆や嘔吐を伴うこともあるが、急性期治療及び予防治療が多くは有効である。

 一方、頭痛が強いため学校欠席の多いいわゆる慢性連日性頭痛は、患児と保護者が強く治療の効果を期待する頭痛である。片頭痛が基礎にあることも多いが、心理社会的要因が関与する慢性緊張型頭痛がメインで、薬物治療に抵抗し難治である。小児・思春期頭痛外来を受診する子どもの頭痛の半分は、このような難治な頭痛であるが、頭痛ダイアリーを記載しながら、子ども自身がストレスに気付き、対処法を模索しながら成長していく過程で必ず良くなる頭痛でもある。以下に小児の頭痛の起こり方と対処法を示した。

※参考Webサイト
日本頭痛協会:養護教諭と教師向け資料:http://www.zutsuu-kyoukai.jp


男と女の脳のちがい(そのII)

2016.04.12

氏名 河村 弘庸【脳神経外科】
経歴 元東京女子医科大学 脳神経外科教授
淑徳大学非常勤講師

 

 今回は、女性と男性とで感情表現の違い、また、男性は化粧をしないが、女性は化粧なしでは人前に絶対に出もでません。これも決定的に男性と女性の脳の働きの違いですので、何故なのかお話します。

(図1)

 図1は機能的MRI(核磁気共鳴診断装置)を用いて女性が感情表現している時と男性との違いを示しています。一目瞭然で女性脳では、大脳半球の前後左右と広い場所を同時に使用しているのが分かります。一方、男性脳では左大脳半球の前後2カ所しか働いていません。

(図2)

 前回お話しましたが、女性は子育てが基本的に中心ですので、周囲とのコミュニケーションを大切にします。従って、図2に提示したように、共感する女性脳の特性があります。お喋りの中でいろいろと考え、感情表現も周囲の状況に応じて臨機応変に変えることができるものです。そこで沈思黙考は難しいのです。
 男性脳では、物事を抽象的に把握しシステム化するのに長けていますが、孤独になり勝ちで女性より早く呆ける傾向が明らかです。
 図2に示したように、女性は人間関係を中心としたコミュニケーションを大切にしますが、あくまでも、自分の存在を密かに構築します。従って、自分が必ずしもそうだとは思わなくても、その場の雰囲気に合わせ、「そうね!」と言えるのです。
 いつも断定的な表現は避け、婉曲的表現に終始する傾向が強いので、女性は化粧なしでは、外出できないように「言葉」にも化粧をするのです。このような女性特有の言語表現能力には、男性は全く、追従できません。
 少し横道に逸れますが、茂木健太郎氏著書「化粧する脳」を参考に女性の化粧について考えてみたいと思います。

(図3)

化粧は社会へのパスポートであり、自己構築の基本です.常に他人からの視線を気にしなければ居られないので、自分の脳も化粧を施すと言われています「図3」。

(図4)

少し難しくなりますが、更に面白いことに、化粧している自分の顔と素顔では、あたかも他人と自分を見比べているように、脳が働く場所が同じなのです。右側頭葉後部の「紡錘回」と言う場所が働くのです「図4」。 少し難しくなりましたが、女性脳の高等で複雑な「感情機構」を理解して頂けたでしょうか?


多発性硬化症治療薬の著しい進歩

2016.02.01

 
氏名 藤原一男
経歴 福島県立医科大学多発性硬化症治療学講座、教授
一般財団法人脳神経疾患研究所 多発性硬化症
視神経脊髄炎センター、センター長

 

 多発性硬化症(multiple sclerosis, MS)は脳脊髄に炎症による脱髄病変(脱髄とは神経線維を覆うミエリンが破壊されること、ミエリンは電線を覆うビニールのようなもので神経の情報伝達を速くするのに役立っています)が多発する疾患です。若年成人に起こりやすく我が国では1万数千人が罹患しており、年々増えています。
MSの症状は視覚障害、ふらつき、脱力、しびれ、記憶力の低下、排尿や排便の障害など様々ですが、無治療では再発を繰り返したり、しだいに病状が進行して不自由が増していく慢性の神経難病です。

 MSの再発を減らしたり、病状の進行を遅らせる薬を疾患修飾薬といいます。再発を繰り返すタイプのMS(再発寛解型MS)では、再発や脳病変を減少させる疾患修飾薬として、インターフェロンベーター(自己注射で皮下注と筋注の2剤がある)、フィンゴリモド(内服薬)、ナタリズマブ(点滴薬)が使用可能です。さらに最近、コパキソン(自己注射)も承認されまもなく臨床現場で使えるようになります。
一般に、インターフェロンベーターとコパキソンは第一選択薬(まずはじめに投与する薬)、フィンゴリモドとナタリズマブは第二選択薬(第一選択薬が効果不十分あるいは副作用で使えない場合、あるいは再発や脳病変が多い疾患活動性の高いMSでは最初から使う)に分類されています。
また、第一選択薬であるBG-12(内服薬)や歩行障害を改善する4-アミノピリジン(内服薬)の継続投与試験が進行中です。

 欧米ではさらに多くの薬剤がMSに承認されていますが、最近(H27年10月)スペインのバルセロナ市で開催され約9000人が参加した第31回ヨーロッパMS学会(ECTRIMS)では、これまで有効な薬のなかった慢性進行型MSにオクレリズマブというBリンパ球のCD20という分子に対するモノクローナル抗体製剤が病気の進行抑制に有効との治験の成績が報告され、またビオチンという物質を投与すると慢性進行型MSの症状を改善するという驚くべき結果も発表されました。
さらにこの学会では、MSの再発時に壊れたミエリンの再生(再髄鞘化)を促す抗リンゴ-1(LINGO-1)抗体という薬で、視神経炎の後の視覚誘発脳波所見の改善、すなわちこの治療薬により視神経炎の治りがよりよくなったことも報告されました。無論、これらの治療薬の有効性はさらに確認していく必要がありますが、MS治療の新たな可能性として大いに期待されます。


 このようにMSの治療薬の進歩は今や日進月歩ですが、その実際の投与についてはMS専門医とよく相談して自分に合うのかどうかを判断する必要があります。当クリニックではMSのセカンドオピニョン外来を第1、第3月曜日の午後に行っております(休診のこともありますので電話でご確認ください)。お気軽に御相談ください。


男と女の脳のちがい(そのI)

2016.01.14

氏名 河村 弘庸【脳神経外科】
経歴 元東京女子医科大学 脳神経外科教授
淑徳大学非常勤講師

これからシリーズで、「男と女の脳のちがい」についてお話し致します。 皆さんの中には、男と女の脳の働きには大分違いがあるのではと気付く人もいると思います.ここに示した図1のように、子供も大人でも趣味も衣装もこんなに違いがあります。きっと脳の働きにも違いがあるのではないでしょうか?

(図1)

(図2)

さて、「男と女の脳の働きのちがい」には1言語、2立体認知、3視覚の3つに分かられます。今回は,1言語のちがいについてお話しします。はじめに、男と女が話しをしているときに脳のどのような場所を使っているか、特殊な診断装置(機能的MRI)使って見てみましょう。

(図3)

女の脳では、話しをしているとき、大脳半球の右も左も、前も後ろも働いています.一方、男の脳では、左大脳半球の前後2カ所しか使っていません.女性が如何にお喋りかお分かり頂けると思います.女性脳ではこの左右、前後の言語センターを駆使するので、3-4人の女性が違う話題を同時に話し合っていてもお互いに理解できるのです.例えばAさんが旦那さんの仕事のこと、Bさんが子供の学校のこと、Cさんが料理の話し、Dさんがダイエットのこと、このように全く異なった話題を同時に話しても十分理解し合っているのです.男はこうした場には入れません.たとえ仲間に入ったとしても、1つの話題も理解できないと思います.まさに「井戸端会議に花が咲く」でしょうか?  また、この女性脳の特徴を活かした職業があります.同時通訳の仕事です.外国語を右脳で聞き、左脳で母国語に翻訳するのです.専門的な特殊な通訳以外は、全て女性が活躍しています.その理由がお分かり頂けたと思いますが如何でしょうか.余談になりますが、同時通訳の仕事は、脳を酷使するので脳が疲労してしまので、15分交代です.脳のエネルギー源はブドウ糖です、それで休憩にはチョコレートを食べるそうです。  それでは、どうしてこのような「男と女の脳の働きのちがい」が生まれたのでしょうか?人間の進化の過程にあるようです.人類がこの地球上に生存し始めたときから、男性は狩をして食料を確保し家族を守るのが仕事で、一方女性は洞窟で他のいくつもの家族と共同で生活し子供を育てたと言われています「図4」。

(図4)

狩の時に会話は不要で、目配せなど合図し数人で獲物を捕ったものと思います.そのため、現在でもその遺伝子が受け継がれ、男性は無口なのです.女性は共同生活を円滑にするために、お喋りに成ったのでしょう.因みに女性は1日に2万語、男性は僅か7千語と言われています。
今回のお話はこれでお終りですが、少しでも興味を持って頂ければ幸いです。


冬の皮膚病―乾皮症性(皮脂欠乏性)湿疹

2015.12.21

氏名 飯島 正文【皮膚科】
経歴 昭和大学名誉教授
山梨大学医学部皮膚科 非常勤講師
日本皮膚科学会元理事長

 

 冷え込んで乾燥するこの季節に急増する皮膚病が、乾皮症性(皮脂欠乏性)湿疹です。男女を問わず、特に高齢者に多く認められますが、40~50歳代の中年の患者さんも決して稀ではありません。
 病名の通り、この湿疹は冬季皮膚が乾燥してカサカサすることから始まります。乾燥した皮膚が強い痒みを誘い、この痒い乾燥皮膚を掻くことにより湿疹病変が作られ、さらに湿疹が痒みを増強させ、また掻くことにより湿疹がさらに悪化することになります。すなわち、乾燥皮膚→痒み誘発→掻破→湿疹誘発→痒み増強→掻破→湿疹増悪、という、痒みと掻破行為の悪循環、これをitch-scratch cycleと言います、が起こって湿疹病変が重篤化し、夜も眠れないと訴えて患者さんがクリニックの外来にお見えになります。

 治療の基本は通常の湿疹治療に加え、皮膚乾燥=乾皮症対策が重要です。湿疹にはステロイド外用療法が基本で、痒みには抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬内服を併用します。乾皮症には各種保湿剤、ヘパリノイド含有軟膏、尿素軟膏、ワセリンなどを用います。最も大切なことは日常生活指導で、風呂は温めを原則とし、汚れを洗い流す程度のやさしい石鹸使用にとどめてください。
江戸っ子の如く熱い風呂に入り、ナイロンの健康タオルでゴシゴシ擦って洗う垢すり行為は最悪です。冬の季節が来たら直ちに保湿剤(市販薬にも良いものがたくさんあります!)を用いた乾燥皮膚対策をお始め下さい。乾皮症の程度を改善する、掻いて湿疹化することを防ぐことが予防の第一歩です。加齢に伴って誰にでも老人性乾皮症は起こり得ますが、症状の程度は人により様々です。乾皮症は温度・湿度の急激な低下で悪化しますので、初冬の今こそが乾皮症対策の大事な季節です。