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『視神経乳頭陥凹』について

2024.02.22

眼科 小林 健太郎

視神経乳頭陥凹

眼の視神経が眼内に入って来ているところを眼底検査で確認できる部分を視神経乳頭といいます。ただし乳頭と言っているからといって昭和新山(図1)のように眼内に突出している訳ではありません。

図1

昔、解剖した時に肉眼で見ると突出しているように見えたからです。実際には火山のカルデラの様(図2)に見えます。

図2

そのカルデラの部分が乳頭陥凹で、そこが広がって見えると乳頭陥凹拡大といいます。視神経は視神経線維の100万本の束で、50万本まで減ると視神経乳頭拡大の状態になります。この場合緑内障検査するため眼科を受診してください。


総合診療科コンセプト

2023.07.11

氏名 稲葉 佑介【総合診療科】
経歴 群馬大学医学部卒業
東京女子医科大学病院 総合診療科入局
東京女子医科大学病院 医局長

「漠然とした体調不良」「医療機関を受診したものの原因がはっきりしないと言われたが、症状がある」などのお悩みを抱えている患者様は非常に多くいらっしゃいます。例えば、「頭と胸とお腹に違和感があって脳神経外科、循環器科、消化器科を受診したものの、いずれも問題ないと言われた」というような患者様からご相談を受けることが多々あります。それぞれの専門家の先生はご自身の領域に関しては検査を行った上で「問題ない」と判断されますが、自身の領域以外は判断をされないというケースも少なくありません。「診療科を問わず、体の不調をトータルで診療し、判断して欲しい」というニーズにお答えするべく日々の診療を行っております。総合内科医としてトレーニングを積み、様々な疾患についての知識を持った医師がそれまでの経過や受けた検査に基づいて診察を行い、必要に応じて検査の追加・専門家へのご紹介や、「結果に異常はありませんでした」には留まらないアドバイスを行い、患者様が「来院して良かった」と心から感じていただけるような診療を提供致します。「こんな悩みで受診していいのだろうか?」とご自身で感じられているような問題でも遠慮なくご相談下さい。事前のメール相談も承っております。


生活習慣病の処方について

2023.07.10

氏名 稲葉 佑介【総合診療科】
経歴 群馬大学医学部卒業
東京女子医科大学病院 総合診療科入局
東京女子医科大学病院 医局長

糖尿病専門医であり、処方はもちろんのこと、生活指導についても専門的な知識に基づいてきめ細かいアドバイスが可能です。漫然と処方を継続するのではなく、アップデートされた最新の知見に基づき、不要な処方は1錠でも減らす一方、必要な処方が行われていない状況に陥らないように毎回の受診時に確認させていただきます。

「忙しく働くビジネスワーカーの皆様の味方である」であることをモットーに診療しています。来院回数や検査などの負担が最小限になるように配慮します。「無駄にお待たせすること」「無駄に検査すること」は最小限にしつつ、「必要な情報を提供すること」「必要、あるいは希望される検査をすぐに行うこと」を徹底し、「合理的で、かつ温かみのある外来診療」になるよう心がけます。

例えば高血圧症で治療を受けている患者様が花粉症でお悩みの場合、もちろんいつもの処方に加えて花粉症の治療薬を処方します。総合診療科の外来であるため、耳鼻科、皮膚科、整形外科など、専門領域を問わず必要な処方はまとめて行うことが可能です。紹介状や診断書の作成も可能な限り「即時」行うようにしています。

例えば受診するたびに「ビジネスシーンでの飲酒」「会食」など避けられない飲食についてとやかく言われても困ってしまうと思います。ビジネスワーカーとして活き活きと働いていただく中で実行可能な治療をご提案していきます。

ただ処方をするだけでなく、患者様の健康についてのいわばコンサルタントとしての役割を果たしたいと考えています。何か健康についての心配事があれば何でもお伝え下さい。総合診療科の医師として全力でお役に立てるように努め、必要であれば専門家への紹介という形でもお力になります。また、他の医療機関で受けた検査結果や検診結果も喜んで拝見します。「定期的に病院に行くのは面倒くさい」ではなく、「定期的にコンサルタントに相談する機会がある」と前向きに考えていただけるような外来でありたいと願っています。


女性の肺がん

2022.08.23

氏名 宮元 秀昭【呼吸器外科】
経歴 秋田大学医学部卒業
社会福祉法人三井記念病院外科レジデント
国立がんセンタ-内視鏡部非常勤医師・外科研修医
社会福祉法人三井記念病院外科医局長
社会福祉法人三井記念病院呼吸器センタ-外科科長
順天堂大学医学部胸部外科学講師
順天堂大学医学部附属順天堂医院 呼吸器外科診療科長
順天堂大学医学部外科学助教授(呼吸器外科学研究室室長兼務)
順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センター併任
一般財団法人脳神経疾患研究所附属呼吸器疾患研究所所長
総合南東北病院・南東北医療クリニック呼吸器センター センター長
NPO法人女性呼吸器疾患研究機構 設立 理事長就任
公益財団法人 日本医療機能評価機構 評価調査者委嘱

女性の肺がん

2018年の新規肺がん罹患者は約4万人。死亡者数も急増していて、同年は約2万2000人が肺がんによって亡くなりました。最近は女性の肺がんの増加が日本人全体の肺がん死亡者数増加の大きな要因となっています。

肺がんの一番の原因は「喫煙」であることは言うまでもありませんが、非喫煙者の肺がんが現在注目を集めており、環境、職業、大気、遺伝子、性が検討されています。非喫煙者の肺がんは現在、がん死の第7の原因で、世界で肺がん患者の25%が非喫煙者と推定されています。

女性の肺がんは先進国では、女性の社会進出もあり、喫煙と大きく関係しています。米国では過去42年間で男性の肺がんは36%減少したのに対し、女性は84%増加しました。肺がんに罹患した女性のうち約20%が非喫煙者でした。それに対して、女性非喫煙者肺がんの割合は東アジア・南アジアで高く、60-80%です。日本の女性は喫煙者も、非喫煙者も肺がんのリスクが高いのです。

喫煙以外では受動喫煙が大きな原因であることはご存じのとおりですが、「タバコと無関係なら肺がんにはならないのでは?」と考える女性も多いかもしれません。しかし、女性ホルモンが肺がんに関係することが指摘されています。女性ホルモンであるエストロゲンは、肺のがん細胞の増殖を直接促進したり、肺がん細胞中にあるエストロゲン受容体に、エストロゲンがくっつくことによってがん化を促進したりすることにより、肺がんの発生にかかわると考えられています。

国立がん研究センターは2022年、女性非喫煙者の肺がんは、女性ホルモンのエストロゲンが関係している可能性があるという研究結果を発表しました。40~69歳のたばこを吸ったことがない約4万2000人の女性を21年間追跡した結果、400人が肺がんに罹患し、うち305人が肺腺がんでした。閉経が早い女性に比べて、遅い女性の方が肺腺がんのリスクが1.41倍高く、初潮から閉経までの期間が短い女性と比べて、長い女性の方が肺腺がんのリスクが1.48倍高いという結果でした。正常な肺や肺がんの組織には、女性ホルモンのエストロゲンが結合する「エストロゲン受容体」があることから、肺がんの発生にはエストロゲンが関係していると考えられています。初経から閉経までの期間が長い場合、高濃度のエストロゲンに長期間さらされるため、それが肺がんリスクの上昇に関連した可能性があります。卵巣を摘出するなど外科的処置によって閉経した女性は、2.75倍も腺がんのリスクが上がったという研究報告もあります。外科的処置によって閉経したことで、急激にホルモンの変化が起きたり、術後のホルモン剤の服用などがリスクを上げている可能性があるとしています。

喫煙女性はもちろん、受動喫煙でタバコを吸ったことがなくても、初潮から閉経の時期が長い(36年以上)、あるいは手術により閉経した経験のある方は、ぜひ、呼吸器科を一度受診してみてはいかがでしょうか。

新型コロナと後遺症


新型コロナと後遺症

2022.07.20

氏名 宮元 秀昭【呼吸器外科】
経歴 秋田大学医学部卒業
社会福祉法人三井記念病院外科レジデント
国立がんセンタ-内視鏡部非常勤医師・外科研修医
社会福祉法人三井記念病院外科医局長
社会福祉法人三井記念病院呼吸器センタ-外科科長
順天堂大学医学部胸部外科学講師
順天堂大学医学部附属順天堂医院 呼吸器外科診療科長
順天堂大学医学部外科学助教授(呼吸器外科学研究室室長兼務)
順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センター併任
一般財団法人脳神経疾患研究所附属呼吸器疾患研究所所長
総合南東北病院・南東北医療クリニック呼吸器センター センター長
NPO法人女性呼吸器疾患研究機構 設立 理事長就任
公益財団法人 日本医療機能評価機構 評価調査者委嘱

新型コロナと後遺症

新型コロナウイルス感染症はすでに第7波に入りました。重症患者さんは明らかに減っており、恐怖を抱く人々も減っています。しかし、第6波で後遺症を訴える人が確実に増えています。若い世代では、学校に行けなくなったり、仕事ができなくなったりと、毎日の生活に大きな支障を受けている人たちがSNSで訴えています。今回の第7波もたいへん心配です。

世界保健機構(WHO)では、他の疾患の影響ではなく2か月以上続いている症状を「コロナ後遺症」と定義しています。だるい、息苦しい、頭がぼーっとして思考力が落ちるなどの症状が、感染から3か月以上経ってもみられ、海外では「long COVID」と呼ばれています。一度治まっても、再び現れることもあります。症状には様々な要因が絡んでいて、治療方法は定まっていません。ワクチン接種で後遺症の予防ができるという報告もありません。4人に1人が発症から半年経っても何らかの後遺症を抱えているという報告もあります。今回は、新型コロナの後遺症について、男性と女性では免疫の反応が異なり、症状の回復に差がみられるという、京都大学の上野教授の研究をご紹介します。

ウイルスは体に侵入すると細胞に感染しますが、「T細胞」と呼ばれる免疫細胞が、このウイルスに感染した細胞を狙って攻撃をするというウイルス排除の役割や、自分自身の免疫の暴走を抑える役割などを担っています。京都大学の上野英樹教授は、後遺症患者の血液からこのT細胞を解析し、その結果、強い倦怠感を訴える女性の場合、ウイルスを排除するT細胞とその働きを抑えるT細胞の両方が過剰に作られることで免疫が暴走していること、また、嗅覚や味覚障害だけが残る患者については、ウイルスを排除するT細胞が極端に少ないことを発見しました。感染した際に、ウイルスを排除するT細胞があまり作られない場合は、回復後もウイルスの欠片が体の中に残り、症状を引き起こすとみています。一方、男性ではウイルスを排除するT細胞があまり作られません。男性は新型コロナウイルスだけではなく、かぜの原因のコロナウイルスに対してもT細胞の反応が弱いということです。即ち、後遺症は女性のほうが出やすく、一旦症状が出れば、男性のほうが全身に散らばったウイルスのかけらを排除できないために、症状の回復が遅い可能性が示唆されました。

後遺症とワクチン接種の関連について、イギリス保健安全局は2022年2月15日に、ワクチンの接種によって後遺症が軽く、短期間で済む可能性があるという報告をしました。また、上野教授によりますと、女性の嗅覚・味覚障害や息苦しさ・動悸といった症状は、接種によって免疫のバランスが整うため早く改善に向かう可能性があるとのことです。一方、男性では改善がみられないので、少なくとも女性はワクチンを接種したほうが良いのではないでしょうか。

もしも、今この瞬間、後遺症に悩む方がいらっしゃれば、ご相談にお応えしますので、呼吸器外来を受診してください。

新型コロナと後遺症