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コロナと女性とタバコ

2022.02.08

氏名 宮元 秀昭【呼吸器外科】
経歴 秋田大学医学部卒業
社会福祉法人三井記念病院外科レジデント
国立がんセンタ-内視鏡部非常勤医師・外科研修医
社会福祉法人三井記念病院外科医局長
社会福祉法人三井記念病院呼吸器センタ-外科科長
順天堂大学医学部胸部外科学講師
順天堂大学医学部附属順天堂医院 呼吸器外科診療科長
順天堂大学医学部外科学助教授(呼吸器外科学研究室室長兼務)
順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センター併任
一般財団法人脳神経疾患研究所附属呼吸器疾患研究所所長
総合南東北病院・南東北医療クリニック呼吸器センター センター長
NPO法人女性呼吸器疾患研究機構 設立 理事長就任
公益財団法人 日本医療機能評価機構 評価調査者委嘱

コロナと女性とタバコ

コロナ禍の中、ストレスにより「喫煙を始めた」あるいは「禁煙していたのにまた喫煙を始めた」「喫煙量が増加した」という人が増えているように感じておりますが、皆様の周りはいかがですか?

この度、コロナ禍のストレスにより「喫煙量が増加した」という女性が増えているという調査結果が発表されました。「受動喫煙が増えた」と感じている女性も多いとのこと。これは、コミュニティアプリ「みんチャレ」を展開しているエーテンラボが5月に発表した調査によるものです。その調査結果によると、コロナ禍により「喫煙量が増加した」という人の割合は、男性では21%、女性は38%と、女性は男性の約2倍でした。

さらに、国立がん研究センターが行った「新型コロナウイルスとたばこに関するアンケート調査」では、「新型コロナによるステイホーム・在宅勤務などで同居人の喫煙による受動喫煙は増えたか?」という質問に対し、10.6%が「増えている」と回答しています。対して、減っていると答えた人はわずか 1.6%でした。

コロナ禍の中、どうしても禁煙できない人が、電子タバコであれば従来のタバコに比べ安全だと思って、電子タバコに変える人が増えています。しかし、残念ながら、電子タバコであっても心臓病や脳卒中のリスクは高くなるという研究も発表されました。若者を中心に急速に普及している新型の電子タバコを吸っていると、細い血管の拡張機能が低下し、血圧や心拍数が上昇し、血栓ができやすくなる可能性があるという研究を、ヨーロッパ呼吸器学会が発表しました。

新型コロナウイルス感染症は、過度の炎症、血小板活性化、内皮機能不全、およびうっ血などにより、動脈系・静脈系の両方で血栓性疾患を起こしやすくなるとの報告が蓄積されてきています。また、アストラゼネカ社のワクチンでは、稀に珍しいタイプの血栓症が起き、男性に比べて女性、特に若い女性の方が頻度が高いと報告されています。しかし、上記のようにタバコによる影響も否定できません。

喫煙者が新型コロナウイルスに感染した際には、重症化しやすいというデータもあります。女性ばかりでなく、喫煙男性にとっても他人事ではないことを自覚すべきでしょう。禁煙したい人は、電子タバコに変えるのではなく、きちんと自覚をもって禁煙しましょう。どうしても禁煙ができない方は、東京クリニックの禁煙外来を受診してください。

コロナと女性とタバコ


女性に多い非結核性抗酸菌症とは?

2022.01.13

氏名 宮元 秀昭【呼吸器外科】
経歴 秋田大学医学部卒業
社会福祉法人三井記念病院外科レジデント
国立がんセンタ-内視鏡部非常勤医師・外科研修医
社会福祉法人三井記念病院外科医局長
社会福祉法人三井記念病院呼吸器センタ-外科科長
順天堂大学医学部胸部外科学講師
順天堂大学医学部附属順天堂医院 呼吸器外科診療科長
順天堂大学医学部外科学助教授(呼吸器外科学研究室室長兼務)
順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センター併任
一般財団法人脳神経疾患研究所附属呼吸器疾患研究所所長
総合南東北病院・南東北医療クリニック呼吸器センター センター長
NPO法人女性呼吸器疾患研究機構 設立 理事長就任
公益財団法人 日本医療機能評価機構 評価調査者委嘱

女性に多い非結核性抗酸菌症とは?

検診で胸部レントゲン検査上異常陰影を指摘され、「感染症であり、結核菌の仲間だが人にはうつさない」といわれる場合があります。結核菌の仲間で結核とは違うといわれるのは非結核性抗酸菌と呼ばれる菌で、土壌や水中、食物、動物(家畜を含む)などの自然環境に広く存在しています。結核菌は人に寄生する細菌(結核菌自身は環境中では生存できない)で、人から人に感染しますが、非結核性抗酸菌はもともと土や水など人間の身近な環境に生息していて、人から人に感染することはありません。

この菌に感染して起きる非結核性抗酸菌症は昔から存在した病気だと思われますが、結核に似た症状・病態だったので、結核が多かった時代には混同して考えられていました。しかし、結核菌とよく似ているが別の病原菌を原因とする病気であることが分かり、40年ほど前から「非定型抗酸菌症」と呼ばれるようになりました。近年は「非結核性抗酸菌症」という呼び方が一般的になり、次々と新しい非結核性抗酸菌が発見され、罹患率も増加しています。その中で、わが国で多いのが、Mycobacterium avium complex 菌による肺MAC症と呼ばれるもので、気管支を中心に病変を作るこの肺MAC症が最近わが国の女性に急増しているのです。

最初に記したようにこの病気は結核症と異なり伝染病ではありませんが、薬が効きにくく、なかなか治りにくい病気です。長い付き合いになり、徐々にひどくなると息切れや血痰を生じるようになり、あげくには大喀血や重篤な肺炎をきたすようになります。東京クリニックでは、多くのこのような女性の患者さんの経過を診ています。ご心配な方は呼吸器科を受診してください。

女性


コロナと女性と後遺症

2021.11.13

氏名 宮元 秀昭【呼吸器外科】
経歴 秋田大学医学部卒業
社会福祉法人三井記念病院外科レジデント
国立がんセンタ-内視鏡部非常勤医師・外科研修医
社会福祉法人三井記念病院外科医局長
社会福祉法人三井記念病院呼吸器センタ-外科科長
順天堂大学医学部胸部外科学講師
順天堂大学医学部附属順天堂医院 呼吸器外科診療科長
順天堂大学医学部外科学助教授(呼吸器外科学研究室室長兼務)
順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センター併任
一般財団法人脳神経疾患研究所附属呼吸器疾患研究所所長
総合南東北病院・南東北医療クリニック呼吸器センター センター長
NPO法人女性呼吸器疾患研究機構 設立 理事長就任
公益財団法人 日本医療機能評価機構 評価調査者委嘱

コロナと女性と後遺症

イギリスで発表された2つの研究で、40代と50代の女性に新型コロナ感染症での退院後、後遺症のリスクが高いことが示されました。多くは何か月も倦怠感や息切れ、ブレインフォグなどの症状が続いていると訴えています。

1つはPHOSPと呼ばれる研究で、中年の白人女性で、糖尿病や肺、心臓の病気などの基礎疾患がある場合は、退院後5カ月たってもコロナ後遺症を訴える確率が高かったという結果でした。

もう1つの研究は、50歳未満の女性は男性や50歳以上に比べ、基礎疾患がなくても倦怠感が2倍、息苦しさは7倍、記憶や動作や意思疎通の問題もより多かったという結果でした。

PHOSPの研究に参加した医師の1人は、男性と女性の免疫反応の違いが女性にコロナ後遺症に多いことの説明になるかもしれないと指摘。中年期の女性には自己免疫が多いことが知られています。

新型コロナウイルス感染者のうち、女性の方が男性より倦怠感や味覚障害などの後遺症が出やすい傾向があることが、日本の国立国際医療研究センターの調査で分かりました。とくに、倦怠感は約2倍、脱毛は約3倍。男女全体では4人に1人が発症から半年経っても何らかの症状を抱えていることも明らかになりました。私の専門である息切れなどの呼吸器症状に限って言えば、1か月以内 約 20%、100日ほど後約5%、半年後 約4%、1年後1.5%が後遺症として残っているという報告でした。

もしも、今この瞬間、後遺症に悩む方がいらっしゃれば、ご相談をお伺いしますので、東京クリニックの呼吸器外来を受診してください。

女性

片頭痛の新しい予防薬 エムガルティ

2021.06.27

 

氏名 五十嵐 久佳【脳神経内科】
経歴 北里大学医学部卒業(1979年)
英国The City of London Migraine Clinicにて研修(1989年)
北里大学医学部神経内科講師
宮内庁病院内科医長
神奈川歯科大学内科学講座教授

片頭痛予防治療薬(発症抑制薬)エムガルティのご紹介

片頭痛の新しい予防薬(発症抑制薬)であるヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤のエムガルティ(一般名:ガルカネズマブ)が発売され、片頭痛でお困りの患者さんに使っていただくことができるようになりました。
以下にエムガルティについて説明いたします。

1)エムガルティの作用機序

エムガルティはCGRPという片頭痛の痛みに深く関与する神経伝達物質に結合し、CGRPの働きを抑える薬剤です。

従来の片頭痛予防薬はてんかんや心臓の病気、うつの治療薬として開発された薬剤が片頭痛の予防薬(発症抑制薬)として効果があることがわかり、流用されているものがほとんどです。エムガルティがこれらの薬剤と異なる点は、片頭痛の病態を狙って開発された薬剤だということです。

2)エムガルティの効果と副作用

エムガルティは臨床試験で、片頭痛の患者さんの片頭痛日数を有意に減少することが明らかにされ、諸外国では2018年から使用されています。国内の臨床 試験(CGAN試験)ではエムガルティを使用すると、片頭痛日数が50%以上減る患者さん(50%反応率)が約50%、75%以上減る患者さん(75%反応率)が約25%、頭痛が0になる患者さん(100%反応率)が9%でした(いずれも6か月平均値)。また日常生活の支障度も改善することが明らかになっています。

エムガルティは効果発現が早いのも特徴の一つで、注射を始めて1か月後に片頭痛日数が半減する患者さんもいらっしゃいます。ただし、効果がみられない患者さんも10~20%ほどいると考えられています。

副作用としては約30%の人に注射部位反応(発赤、腫脹、痛み、かゆみなど)がみられましたが、いずれも軽度~中等度でした。

まれな副作用として、重篤な過敏症(アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹など)が起こることがあります。

3)エムガルティの投与方法

エムガルティは月に1回皮下注射する薬です。針が見えないようになっているオートインジェクター製剤と通常の注射の形をしたシリンジ製剤の2つのタイプの製剤があり、どちらも1本に120mgのガルカネズマブが含まれています。初回は120mgを2本、2か月目からは120mgを1本使用します。初回に2本使用することで、ガルカネズマブの血液中の濃度は薬の効果が十分に発揮できるレベルに早期に到達します。

エムガルティは従来の予防薬に比べて効果が出るのが早いのですが、中には2-3ヵ月かかる人もいます。使用3ヵ月後にどれくらい効果があるかを判定し、効果がない場合には続けるかどうかを検討します。

4)どのような患者さんに使っていただけるか

エムガルティを使用するためには、片頭痛と正しく診断されていることが必須です。以下の条件を満たすときにエムガルティの使用を考えます。

  1. 片頭痛であることが確認されている。
  2. 過去3ヵ月間の1か月あたりの片頭痛日数が平均4日以上ある。
  3. 日常生活上の注意や急性期治療薬(鎮痛薬やトリプタンなど)を使用しても日常生活に支障がある。
  4. プロプラノロール(インデラル)、バルプロ酸(デパケンR)、ロメリジン(ミグシス)などの予防薬を使用しても効果が乏しい、あるいは副作用がある、または合併症のためにこれらの薬剤を使用できない。

5)エムガルティをいつまで続けるか

エムガルティをいつまで続けるかについてはまだ明らかにされていませんが、少なくとも6~8ヵ月は使用していただき、片頭痛日数や片頭痛の強さが減少して生活に支障がないようであれば、いったん中止するか、そのまま続けるかを患者さんと一緒に検討することになります。

6)エムガルティによる治療をどこで受けることができるか

エムガルティによる治療は頭痛診療に精通している医師がいる医療機関でお受けになることができます。実際には、日本神経学会、日本頭痛学会、日本内科学会(総合内科専門医)、日本脳神経外科学会のいずれかの専門医を取得している医師がいる医療機関となります。

7)エムガルティの値段

3割負担の場合、注射代が手技料を含めて初回は27,160円、翌月以降は1カ月に1本の注射で13,610円となります。

8)片頭痛患者さんへのメッセージ

片頭痛患者さんは、片頭痛のために仕事を休んでしまう、仕事に集中できない、家族との時間を犠牲にしてしまう、友人との約束ができないなど、生活に様々な支障をきたしています。またいつ片頭痛が起こるか不安を抱えながら生活している方も多くいらっしゃいます。

新しい片頭痛予防薬(発症抑制薬)エムガルティの登場で片頭痛の治療は大きく変わることが予想されます。さらに今年中に同様の効果を示す薬剤が出てくると考えられます。

あなたやあなたの周りの方が片頭痛でお困りなら、是非医療機関を受診なさり、治療について医師にご相談なさることをお勧めいたします。

エムガルティをお使いの患者さんとご家族の方へ

(以下の画像をクリックするとPDFファイルが開きます。)

エムガルティをお使いの患者さんとご家族の方へ

糖尿病教室のお知らせ

2021.05.07

氏名 稲葉 佑介【総合診療科】
経歴 群馬大学医学部卒業
東京女子医科大学病院 総合診療科入局
東京女子医科大学病院 医局長

糖尿病教室のお知らせ

今日、日本の成人の約6人に1人が糖尿病またはその予備軍であるといわれています。糖尿病は合併症が進むまでなかなか症状が出ないため、健康診断などで血糖値が高いと言われてもそのままにしておいたり、治療を勝手にやめたりしてしまったりしている方も少なくありません。ですが、適切に治療が行われないと徐々に悪くなっていき、多くの合併症が現れてしまう怖い病気です。一方で、早くからしっかりと治療を続けていれば、健康な人と変わることなく生活して天寿を全うできます。

我々医療スタッフも患者さんの糖尿病を良くするためにベストを尽くしますが、例えば患者さんが1月に1回、20分の診察を受けるとしてもこの時間は人生の1%にも満たないものです。残りの99%以上の時間はご自身の糖尿病を管理しなければなりません。この時間をより良いものにするためには、患者さんご自身が糖尿病についての知識をしっかりと付け、創意工夫を凝らしながらこの病気と付き合っていく姿勢を身に付けることが不可欠であると考えています。普段の診療ではなかなかこのような時間を作ることは難しいため、当クリニックでは専門医による糖尿病教室を開催させていただきます。糖尿病と診断されたものの知識に不安のある患者様、健康診断で血糖値について指摘されて不安に感じられている方、患者様のご家族様など、どなたの参加も歓迎いたします。

詳しい日程はホームページでご確認ください。